(追記)※2021年3月4日 : Piepsより正式に自主製品修正を発表 がありました。
現在、炎上しているPiepsのビーコンの問題について、紹介いたします。
目次
実際に炎上している投稿
はじめにPiepsのInstagramの投稿をご紹介します。この投稿がすべての始まりではなく、きっかけはもっとたくさんありますが、その中の一つです。
投稿の内容は、「Pieps DSP Sport と DSP Proのモード切り替えのロックボタンに亀裂が入り、ロックボタンが正しく作動せず、意図せずに発信モードから電源OFFやサーチモードに変わってしまう事例があるので、ロックボタンを確認して問題があればPiepsに連絡をして」というものです。

これが実際にロックボタンの根本に亀裂が入った状態、この状態だとちょっとした拍子にモードが切り替わってしまします。ただ、実際には問題はこれだけではないです。後半にご紹介します。
それに対して寄せられた数々のプロライダーや個人のコメント
プロライダーのコメントをいくつか抜粋してご紹介します。
- Drew Tabke(Freeride World Tourの選手)
こんな情報じゃたりねぇよ。Pieps もうリコールするにもタイミングも逃したね。 - Travis Rice (X-Gamesメダリスト 数多くのスノーボードムービーに出演)
自分も同じ問題にあった。直せ! - Richard Permin(プロスキーヤー LookやDynastar、Oakleyのライダー)
ボイコットだ! - Ian McIntosh (プロスキーヤー TheNorthFace、Volkl、Marker等のライダー)
このビーコンのせいで友人を失いかけた経験から、このPiepsの投稿だけでは不十分といえる。ロック機構は脆弱な設計で、簡単に機能停止に至りやすい。Piepsはリコールするチャンスを与えられていたが、今は人々がPeipsに対してボイコットに向かっている。Piepsはたくさんの良いビーコンを作ってきたが、このロック機構はゴミだ。
もっとたくさんのプロライダーからのコメントが寄せられていますが、到底ここには書ききれないの割愛します。
実際、何が問題なのか
ボタンに経年劣化で亀裂が入るだけなら、ここまで大きな問題にはならなかったでしょう。
この動画がわかり易いです。
この説明をしているNick McNutt(Atomic や The North Faceのライダー)は彼自身がPiepsのビーコンの不具合のせいで、危うく死ぬところでした。本当に生きているのは運が良かっただけって感じです。
動画から切り取って解説していきます。

問題のロックボタン。ご覧の通りこのビーコンには亀裂は入っておらず、一見して何も問題ないように見えます。

横からボタンを見ると、本体から飛び出すようにデザインされています。これにより、体に密着した状態で容易にボタンが押された状態になります。

モードを発信モードにしてホルスターにしまいます。

バックルを閉じて、モード変更スライダーに力を加えると、なんと簡単にスライドしモードが切り替わってしまいした。(上動画 3:10から)
実際に雪山で、発信モードにしていたはずが、いつのまにかモードが切り替わっており、それに気づかず雪崩に巻き込まれと考えると恐ろしいですね。
実際に動画の彼(Nick McNutt)はその状態になり、仲間がたまたまプローブだけで探しあてたことで助かりました。その時はムービーの撮影中で、多くの人が捜索に参加できたこと、スノーモービルがあり迅速に現場に向かうことができたことが救いだったようです。

同じくPiepsでも新しいモデルでは、デザインが改良されロックボタンは本体に対してフラットになっており

ロックボタンを押すのではなく、スライドする必要があり、不意に変わることを防いでいます。
このことからも、Piepsは古い製品の問題点を明確に把握しているように思います。
製品の問題点まとめ
- ロックボタンが本体から飛び出ている。
- ロックボタンが比較的軽い力で解除される。
こちらの動画では0.005inch(0.127mm)の押し込み量で動くことも確認されている。
雪崩に巻き込まれた際にどんだけの力が体に掛かるか想像してみてください。 - また、ホルスターにに入れる向きを間違うとバックルによってロックボタンが押される事例もあり
なんでここまで炎上しているか
2017年3月4日
Corey Lynamは幅150メートル深さ80センチの雪崩に巻き込まれ帰らぬ人となった。彼は、奥さんが妊娠しているのを知って、自身のバックカントリーギアを新しくし、その時最新モデルで信頼があると思ったPieps DSP Sportに買い替えていた。雪崩が発生した時に一緒にいたメンバー5人は彼のビーコンが発信していないのをしり、愕然とした。彼らは当然のように、ツアー前ビーコンの動作チェックをしていた。その時のメンバーや彼の奥さんはこのような悲しい事故を二度と起こさないように、事故の原因であるPiepsのビーコンの問題を明らかにし、弁護士を通してPiepsに報告とリコールを促した。
それ以降も、ロックボタンの多くの不具合事例がPeaps社に伝えられたが、現在に至るまでPeapsからは不意にモードが切り替わることは公にされていない。
あくまで、ボタンに亀裂が入った場合のことしか言っていないが、実際はもっともっと深刻だ。
ビーコンという命の直接関わるものを製造するメーカーとして、数年前から問題を把握しているはずなのに、未だに誠意のある対応がなされていないということが、炎上につながっていると思います。
まとめ
Pieps DSP Sport と DSP Pro や、まだ売っている販売店はやべぇよ!
一番上にも書きましたが
※11/13日に日本の代理店であるロストアローより案内が出ました。
下記は実際に起きた事故の様子
2つ目は捜索者たちの現場の会話
「シグナルねぇよ」
「こっちもシグナルなし」
「まじかよ」
「やべぇ」って緊迫した様子が伝わってきます。
追記:代理店及びメーカーの対応
※2020年11月12日 : 日本の代理店であるロストアローより案内が出ました。
日本の代理店としてできる最大限のサポートで、対象製品を最新モデルに小売価格の60%にで交換というものです。
※2021年3月4日 : Piepsより正式に自主製品修正を発表
モード切替スライドを物理的に固定する、ハードケースハーネスを配布する。
“”内は上記リンクより引用
“消費者の皆様は、影響を受けた製品の使用を直ちに中止し“
“新しいハードケースキャリングシステムでのみ使用してください。“

“PIEPS は、影響を受ける製品の安全性と性能について、社内試験や第三者試験を含めた広範な評価を実施しています。その結果、製品は国際規格に準拠していて、適切に設計されており、意図した通りに機能していると結論付けられました。”
つまり発表によると、問題のビーコンは意図した通りに機能しているが、直ちに使用はやめ、ハードケースハーネスと必ず併用してください。とのことです。
日本で購入の対象製品を持っている方が現在できる対応は、
1、ロストアローの案内(2020/11/13)で60%負担で最新機種に交換。
2、Piepsの案内に沿って[ec@lostarrow.co.jp]に相談。
オンラインフォームは欧州向け
3、ロストアローからハードケースハーネスについての正式な案内が来るまで待つ
コメント
大変参考になりました。
自分はBarry Voxユーザーですが、この問題を知らないユーザーもいると思うので、シェアさせて頂きます。